ハルパー

ハルパー~メデューサの首を切り落とした名高い黄金の内刃剣ハルパー

ハルパーは大きく湾曲した内刃の剣です。ハルパーは古代ギリシアで実際に使われていた湾曲した刀剣で、草刈鎌のような形状をした剣だったといわれます。ハルパーの湾曲した形状から引っ掛けて切り落とすというように使われていたようです。非常に鋭い刃を持っていたというハルパーは、神や巨人、怪物であってもハルパーで殺すことができたのだといわれています。

ハルパーは以下のような神話の物語の中に登場しています。
ギリシア神話の主神ゼウスの妻ヘラに仕えていた神官の中に、イーオーという美しい神官がいました。イーオーを見初めたゼウスは自分のものにしますが、その現場をヘラに見つかりそうになります。これをごまかすため、ゼウスはイーオーを雌牛に変えてしまいました。ですがヘラはすべてを見破りつつも、イーオーを雌牛として扱いゼウスから無理矢理貰い受けたのです。そしてヘラは巨人アルゴスにその見張りをさせたのでした。
巨人アルゴスは複数の目を持ち死角もなかったので、誰もイーオーに手を出すことができませんでした。
ですがイーオーを諦め切れなかったゼウスは、知恵者ヘルメスを頼ります。ヘルメスは葦笛を用いて巨人アルゴスを眠らせ、その首を黄金のハルパーで切り落としイーオーを取り戻したのでした。

黄金のハルパーは、その後ゼウスの子であるペルセウスが怪物メデューサを退治する際にヘルメスから黄金のハルパーを与えられています。
メデューサは髪の毛の一本一本が毒蛇、歯は猪、手は青銅で黄金の翼を持ち、その瞳に見つめられたものは石に変えられるという怪物でした。かつて自らの美しさを女神アテナ以上であると言い触らした為、アテネの怒りを買いこの姿にされたのだといわれています。
ヘルメスはハルパーのほかに、鏡のように映る盾と姿を消してしまうハデスの兜、空飛ぶ羽の生えたサンダルをペルセウスに与えました。
ペルセウスはハルパーをはじめとするこれらの装備を使い、盾に写ったメデューサをハルパーを使いその首を切り落としたのでした。ペルセウスはハルパーを使いメデューサの首を切り落としましたが、ハルパーのような鋭い刃をもつ名刀でなければメデューサの首を切り落とせなかったといわれています。

メデューサの首をハルパーで切り落とした後、ペルセウスは岸壁に鎖で縛られたエチオピアの女王アンドロメダを見つけ、ハルパーでその鎖を断ち切りアンドロメダを助け出しました。その後二人は結婚し、ペルシア王国の祖となりました。二人の子供野中には英雄として名を残したヘラクレスなどがいたのでした。


ハルパーは多くの神や英雄の手で使われたと伝えられています。ペルセウスがハルパーを使った以前には、農耕神クロノスが天空神ウラヌスの性器を切り取る際にハルパーを使ったといわれている他、百目の巨人アルゴスを殺した際にもハルパーが使われたと伝われています。また捕らえられたゼウスの足の腱を切り落としたのもハルパーだったともいわれているようです。

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