ロンギヌスの槍

ロンギヌスの槍~世界の覇権を握るキリストを貫いた聖槍ロンギヌス

ロンギヌスの槍は聖遺物として名高い槍です。イエス・キリストが処刑された際に使われたのがロンギヌスの槍なのです。
ロンギヌスの槍はヨハネ福音書に登場します。イエス・キリストがゴルゴダの丘で磔刑に処せられたのは紀元前30年ごろといわれているようです。死因そのものは十字架に釘打たれて放置されたことによる失血と衰弱などと考えられますが、ヨハネ福音書によれば生死確認のためにロンギヌスという兵士がその槍でイエスのわき腹を刺したといわれています。これがロンギヌスの槍と呼ばれる槍です。
しかし、ロンギヌスの槍が戦いで使われたことは一度もなく、ロンギヌスの槍は単に一人の兵士が一人の受刑者の生死を確認した。ロンギヌスの槍が使用されたのはただそれだけのことなのです。ですがロンギヌスの槍はその聖性から、ロンギヌスの槍は信仰の対象とされているのです。

ロンギヌスの槍はキリスト教の中では「聖遺物」として重要視されています。聖人の遺骸や遺物は「聖遺物」として格別の崇拝を受けているそうです。ロンギヌスの槍もイエスの血を直接受けた槍として、ロンギヌスの槍は崇拝されているといいます。単に「聖槍」とロンギヌスの槍を呼ぶ場合もあります。また、このロンギヌスの槍で行われた「検死」の行為がイエスの死を強調することになり、イエスの復活性をも強調することになっているようです。

ロンギヌスの槍は信仰の対象のひとつとされていましたが、時代が過ぎるにつれてロンギヌスの槍の聖性は増していったようです。ロンギヌスの槍が次に歴史の中に登場するのは4世紀ごろになります。ローマ皇帝コンスタンティヌス一世の母ヘレナが「聖十字架」「聖釘」とともに「聖槍」ロンギヌスの槍を発見したと伝えられています。それ以降ロンギヌスの槍は時の覇者の下を転々としていきます。西ローマ皇帝シャルルマーニュなどはロンギヌスの槍を手にしてから連戦連勝を重ねたといいますが、ロンギヌスの槍を失った途端に命を落としたといわれています。
こうしてロンギヌスの槍は「ロンギヌスの槍を持つ者は世界を制する」といわれるようになったそうです。キリスト教と関連深いアーサー王伝説の中にも「ロンゴミアント」という呼び名でロンギヌスの槍は登場しています。
ロンギヌスの槍を求めていたのは古い時代の人間だけではなかったようです。ロンギヌスの槍は、かの第三帝国のアドルフ・ヒトラーすらも求めていたといわれているようです。神秘主義に傾倒していたといわれるヒトラーは、当時ハプスブルグ家が所有していたロンギヌスの槍を奪い、ロンギヌスの槍を愛でていたといいます。しかし敗走しロンギヌスの槍を失ったヒトラーは、数日後に拳銃自殺を図ったのだといわれています。

ロンギヌスの槍は現在、ロンギヌスの槍の穂先だけがオーストリアのホーフブルグ宮殿にて展示されています。ロンギヌスの槍を手にし次なる世界の覇者になるのはいいったい誰か。それはロンギヌスの槍と神だけが知っているのでしょうか。

ラベル: